香川県の介護事情

香川県は、四国地方の北東部に位置し、全国的にみても高齢化率が高い地域の一つです。2020年の国勢調査によると、県内の高齢化率(65歳以上の人口比率)は全国平均を上回り、特に過疎化が進む中山間地域ではさらに高い数値を示しています。このような状況を背景に、介護を必要とする高齢者の増加が課題となっています。

介護サービスの現状
香川県では、介護保険制度の下で多様なサービスが提供されています。訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなど、地域に根ざしたサービスが整備されていますが、特に都市部と郊外・過疎地との間でサービスの偏在が指摘されています。都市部では施設の数が充実している一方で、郊外や島嶼部ではサービス提供が限られており、移動の不便さが課題となっています。また、近年は「地域包括ケアシステム」の構築が進められており、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けられるよう、医療や介護、福祉が連携した取り組みが推進されています。このシステムの一環として、認知症カフェや地域支援事業など、住民主体の取り組みも見られるようになっています。

介護人材不足の課題
全国的な傾向と同様、香川県でも介護人材の不足が深刻です。特に若年層の県外流出が顕著であり、介護職への人材供給が限られています。このため、介護職員の処遇改善や研修体制の充実を図るとともに、外国人介護労働者の受け入れも進められています。

高齢者支援の地域特性
香川県の地域特性として、家族や地域コミュニティによる支援の意識が高い点が挙げられます。高齢者を家族が支える「老老介護」や、地域の住民同士が助け合う「共助」の取り組みが一部の地域で根強く存在しています。しかし、核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中で、これらの伝統的な支援体制も徐々に弱まりつつあります。

今後の展望と対策
香川県では、ICTやロボット技術を活用した介護の効率化が期待されています。具体的には、介護ロボットや見守りセンサーの導入が進められており、高齢者の安全と介護職員の負担軽減を図る動きが見られます。また、地域住民が主体的に関わる介護予防事業や、認知症に特化した支援体制の充実も重要な課題です。今後、香川県が高齢者が安心して暮らせる社会を実現するためには、地域全体での支え合いの仕組みづくりと、柔軟な人材確保策が必要とされます。
所有資格別受講料 / 現在募集中の講座 / 資料請求